Q=今はバブルなのでしょうか?
A=過去の事例に沿ってご説明します。
私の知り限り、少なくとも今迄に2回のバブルを経験しています。
平成バブルとファンドバブルです。
1回目の平成バブルはそれは凄まじいものでした。私が不動産業界に足を踏み入れた時が、その絶頂期でした。
では何故そこまで不動産価格が高くなったかと言う要因をいくつかあげてみましょう。
①先ず経済の原則ですが、売主(売物件)より買主(買ニーズ)の方が多ければ間違いなく価格は上がります。これを売手市場と言います。
逆に売主(売物件)が多く買主(買ニーズ)が少なければ価格が下がり買手市場になります。(不動産価格決定のメカニズム)
②次に資金です。すべての皆さんが現金で購入出来るわけではありません。大概は金融機関から借り入れします。現在では史上最低金利を更新し、低金利が当たり前のようになっていますが、平成バブルの頃の貸出金利は7%~8%位だったと思います。それでもマイホームを持ちたい方々は2割の頭金を貯めて、残り80%の資金を金融機関から借り入れしていました。(売買価格の最大80%が担保掛け目だったものが現在まで90%ローン→95%ローン→100%ローン→+諸経費ローンと変遷を辿っています。)
しかもこの頃の金融機関というと大手都市銀行ではなく、地銀や信金がメインで、不動産業者によっては独自のブランドで保証会社を作りノンバンク(生保:損保他)から資金を融通し、購入者に対し貸出していました。また住宅金融公庫や年金、財形と3本建てでローンを組まれる方も多く、金消契約から実行までの段取り等で大変苦労された方もいらっしゃると思います。(現在は大手都市銀行がメイン)何れにしても現金+借入金を用意出来ないことには物件を購入出来ませんので、銀行が積極的に住宅ローンを貸出しするかどうかがポイントになります。
③3つ目が税金の優遇処置があること。これは買主の購入マインドを高める効果があります。
平成バブルの時は都心部の価格が高騰しましたので、都心から離れ、郊外へ引っ越しされる方が多くいました。その方々は買替特例を利用できたので、殆どの方がこの制度を利用しました。但し、後にこの制度も何度か変更していますので注意が必要です。
余談になりますが、バブル時代には都心、既成市街地(23区外と武蔵野市等)から既成市街地等外への買い替えなら税金の優遇処置が受けられました。その影響で既成市街地から外れた地域が一気に値上がりしました。埼玉県の大宮や浦和、千葉県の浦安や船橋等がその例です。
尚、居住用と事業用では特例の条件が違います。
反対に消費税の増税等による駆け込み需要があります。購入者としては、、少しでも安い税率の時に物件を購入しておきたいという心理が働きます。(過去に3%→5%:5%→8%に上がる前には駆け込み需要があり、アップ後は急激に市場が冷え込むという現象が起きています。)
現在はマイホームの住宅購入資金を直系尊属(両親または祖父母)から援助を受ける場合、贈与税の特例を受けられます(時限立法)。親から子へ、または祖父から孫へ資産の移転です。
※詳細は関係各省庁、地方公共団体、税理士等の専門家へお尋ねください。
④最後にインカムゲイン(不動産を運用して収益を上げる)として物件を捉えることが重要になります。簡単な話として利回り10%の収益物件を全額融資で購入した場合は、諸経費を除き、10年でプラスマイナスゼロになります。実際はそこに金利や固定資産税、家賃収入による所得税がありますので、10年ではありませんが、ここでは分かりやすく説明するために、表面だけの利回り計算で求めます。これが7%の投資物件では14年半位かかります。5%であれば20年、4%だと25年です。正直言って、これは長すぎです。現在住宅ローンを借入する際の銀行の借入限度額(返済率)を求める数値は10年固定金利(現時点では3.2%)を用いています。よって私は3.2%がデッドラインになると見ています。これに先程の諸経費分を上乗せすると、概ね4%前後に到達するのではないかと思います。以上の事を鑑みると、私は投資用物件としての最低利回りは7%がギリギリのラインになるのではないかと思います。
勿論同じ7%と言っても条件次第になります。築年数:グレード、そして1番大事なのは立地条件(ロケーション)です。(銀座の一等地で7%回る物件は皆無でしょうから?)
平成バブル時代は不動産神話によるキャピタルゲイン狙いでしたので、銀行の貸し出し金利との逆ザヤでも売買されていました。しかし、現在は不動産絶対担保主義だけでは銀行から借り入れ出来ません。
返済計画に基づく裏付けがないと借入不可能です。私は、この表面利回りの平均が4%を切った時点で危険信号だと見て良いと思います。因みに平成バブル時代の都心部は1%台の物件がざらにありました。
但し、上記は、あくまで収益物件(投資用物件)としての捉え方なので、居住用物件の実需は違う捉え方をしないといけません。
私は居住用の売買物件は賃貸物件価格との比較法を用いています。
※次回は居住用の売買物件と賃貸物件の比較についてお話しします。
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