Q=実測売買(実測面積)と公簿売買(公簿面積)の違いは何ですか?
A=公簿売買とは法務局に備え付けられている公簿(登記簿謄本:現在はコンピューター化されている登記事項証明書)の面積で売買することです。
実測売買とは資格ある者「測量士:土地家屋調査士等」が実際に売買対象の土地を測量して、道路含む隣地所有者(公私)の立会いの下、境界点を定め互いに確認書に署名押印する。(印鑑証明添付)
この測量図を確定測量図と言います。古い青図に実測図と書いた測量図や、ハウスメーカー等が簡易的に測量した測量図は実測図とは言いませんのでご注意ください!(ここで言う実測図とは確定測量図の事を指します。)
契約時には未測量でも契約後に測量し公簿面積と差異があった場合は1㎡単価✕面積で清算します。
(1㎡未満の場合は清算しない旨の特約を入れ契約するケースが多いと思います。)
買主が建売業者やマンションデベロッパーの場合は殆どが実測売買になります。
その理由の一つとして、建売業者は購入した土地を分筆し新築戸建てを建築し再販売するからです。
現在、私の知る限り確定測量図がなく、境界点が定まっていない土地については分筆は難しと思います。
また、業者に限らず個人の買主であっても隣地とのトラブルは極力避けたいはずです。
例外的に、希少性の高い物件や、資産価値の高い物件、法人所有の入札案件等の場合は競合になるケースが多く、公簿で契約する場合があります。何故なら売主の意向が尊重されるからです。
(例)以下に簡単な図を示します。(実測売買清算取引を想定しています)
本物件の隣地(道路所有者を含めると)5人の隣地所有者に立ち合いを求め、確認書を取り交わさなければいけません。
測量の結果全ての地点で境界石が確認できました。5人のうち4人からは確認書を取り交わすことが出来ましたが、
1人だけどうしても認めてくれない方がいました。境界石もブロックも外形的には明らかに、その方の主張には無理があります。
本物件側も隣地側もそれぞれが塀を作り管理しています。まさに境界石はその中心にあります。
しかし隣地が認めない限りは確定測量図は作成できません。よって契約は成立しません。
皆さんならどうしますか?勿論弁護士に依頼して境界確定訴訟をおこす事は出来ます。
但し、時間を要します。おそらく2年以上はかかるのではないかと思います。
現在不動産価格は①平成バブル②ファンドバブルに続き③3度目のバブルではないかと思われるくらい地価が高くなっています。
都心の土地は、地方に比較して変動幅が大きいです。上記の例題の場合、隣地の主張通りに認めた場合は、3坪ないし5坪の減少が生じると仮定したケースにおいて、現在の坪単価と2年後の坪単価を想定して客観的に判断する必要があります。
①の平成バブル末期(平成3年~4年)の取引において、土地面積が100坪で、坪800万とした場合は8億になります。
皆さんご存知のように平成バブルが崩壊した時は土地神話が崩壊した時であり、誰も買い手がいない状態でした。
おそらく平成6年~7年には坪単価は200万、グロスは2億くらいになっていたと思います。(恐ろしい事に4/1の価格です。)
③現在は平成バブルのようにキャピタルゲインを狙った不動産投資というのは、ないとは言えませんが、減少しています。
なぜなら、現在では日本も欧米諸国に倣いインカムゲインを重視しているためです。
脱線しましたが①の損益は▲60,000万。仮に隣地の主張を認め確定測量図を取得出来ていたら▲2,400万~▲4,000万で済みます。(比較すると実に57,600万~54,000万を損失したことになります)
※問題は市場価格の分析と先を読む先見性です。TVや新聞でニュースで知る頃には終わっています。ところが、一般の方は残念ながらそこまでは分かりません。
現在はアベノミクスにより、株価も不動産価格も上昇してきましたが、歴史(過去)から学ぶと、そろそろ転換点に差し掛かっているような気がします。或いは既に転換点は通り過ぎているかも知れません!
既に一部の商業地では平成バブル価格を上回っている場所があります。(銀座が代表的)
私自身も、その立場に自分自身がおかれたら冷静な判断が出来ないと思います。正義感からも裁判を選択するかも知れません。但し、お客様の案件に関しては、長年遭遇し蓄積した事例やキャリアは、不思議と第六感が働くようになりました。そして何よりも客観的に判断が出来ます。一般のエンドユーザーは知識と経験がない分、信頼のおける不動産業者を自ら見つけなければなりません。私自身は医者ではありませんが、そのセカンドオピニオンに指名して頂ければ幸いです。
https://www.orangehouse-ginza.jp/